説明
サンスクリット語やヒンディー語に使われる文字・デーヴァナーガリーを記憶するために、形と音が似ている他の文字に無理やりこじつけて覚える方法を記す。この「他の文字」はラテン文字・ギリシャ文字・キリル文字・アラビア文字・ヘブライ文字などから見つけている。一部は非常に無理があるが、何もないよりは覚える役に立つと信じたい。
以下、デーヴァナーガリー文字の直後の発音表記は IPA ではなく IAST によるラテン文字転写である。
母音
अ [a] / आ [ā]
アラビア文字のアイン (ع) が書字方向に合わせて裏返ったもの——これがゼロ子音を表しているものとする。その次の縦棒がアラビア文字アリフ (ا) で母音 [a] を表している。長母音字ではこのアリフが1つ増える。子音に付いて母音 ā を表す記号 (ा ) も同様である。
इ [i] / ई [ī]
全体的なシルエットがラテン文字の J に似ている (J は I から派生した文字である) 。母音記号 ि ・ ी も J を回転・反転したものに見える。短母音の記号は子音に前置するが、これは i を前置して子音の口蓋化を表すやり方 (e.g. アイルランド語の語末の子音) のようなものとみなせる。
उ [u] / ऊ [ū]
ラテン文字 u の筆記体を左に傾けたもの。長いほうはリトアニア語の ų [uː] のようにオゴネクが付く。母音記号の ु は U 、その長いバージョン ू はそれがひっくり返る (ひっくり返る理由も用意したかったが未定) 。
ऋ [ṛ] / ॠ/[ṝ]
右側が英語の筆記体の r に似ている。左側の K の鏡文字のようなものはヘブライ文字のアイン (ע) だと思えば無視できる (現代ヘブライ語ではゼロ子音のため) 。母音記号の ृ は丸まった r 、長母音の ॄ はそれを2回書く。
ऌ [ḷ] / ॡ [ḹ]
ラテン文字 l の筆記体を逆さにしたもの。長い方はオゴネクが付く。母音記号 ॢ ・ ॣ もこれらの字が小さくなっただけである。
ए [e] / ऐ [ai]
ラテン文字 e に似ている。ヒンディー語で [ɛ] と読む ऐ は、フランス語で同音の è または ê に似ている。このアクサングラーヴまたはシルコンフレックスのような記号 े が子音文字の上に直接付く場合は母音 [e] を表すが、このことはフランス語で全種類のアクサンを受け取る文字が e であることに関連づける。それが2つ付く場合 ( ै) は二重母音 [ai] である。
ओ [o] / औ [au]
[a] と読む文字に記号がついて [o] になるのはスウェーデン語の å に似ている。これは子音文字につく場合にも言える ( ो ・ ौ) 。記号が2つ付くほうが二重母音。
子音
軟口蓋音
क [k]
ヘブライ文字の qof (ק) と対応するラテン文字の q を合わせた形。
ख [kh]
ラテン文字 c を、強調のために白抜き字体にしたもの。
ग [g]
ギリシャ文字のガンマ (Γ) を鏡文字にした形。
घ [gh]
アラビア文字のガイン (غ) 。
ङ [ṅ]
(未定)
硬口蓋音
च [c]
ポーランド語の ć [tɕ] 。
छ [ch]
ポーランド語の cz [ʈʂ] を裏返したもの。
ज [j]
キリル文字ジェー (ж) の左下部分。
झ [jh]
ラテン文字の j が母音字 i を子音文字化したものであるように、母音字 इ [i] を子音文字化したもの。
ञ [ñ]
(追記) ñ のチルダをまっすぐに伸ばして右に 90° 傾けたもの。
そり舌音
ट ठ ड ढ ण が該当するが、そり舌音が組み込まれている他の文字体系を知らないので「そり舌音は丸っこい文字が多い」以上の記憶法を作れていない。
歯音
त [t]
ギリシャ文字タウ (τ) 90° 前転させたもの。
थ [th]
左上の巻いた部分がなんとなくヘブライ文字のテット (ט) と似ている。
द [d]
ラテン文字の d 。
ध [dh]
ギリシャ文字のデルタ (δ) 。
न [n]
(未定)
唇音
प [p]
ギリシャ文字の π。
फ [ph]
上記の प をギリシャ文字の φ に近づけたもの。
ब [b]
中身の斜線の有無で [b] と [v] を区別する方法はヘブライ文字のダゲッシュと似ている。
भ [bh]
(未定)
म [m]
ヘブライ文字のメーム (ם) のように角ばった形。
接近音
य [y]
ラテン文字の y 。
र [r]
ラテン文字 R の一変種 (R rotunda) 。
ल [l]
व [v]
上記 ब [b] を参照。
摩擦音
श [ś]
国際音声記号 ɕ を鏡文字にしたもの。
ष [ṣ]
真ん中の斜線を直立させればキリル文字のシャー (ш) やヘブライ文字のシン (ש) に見える。
स [s]
ドイツ語のエスツェット (ß) あるいはその鏡文字。
ह [h]
下の開口部を閉じているものとみなせばハングルの ㅎ [h] を雑に書いたものに見える。